
計測技術
橋梁モニタリングシステム
健全性評価モニタリング
変状監視モニタリング
施工時安全性モニタリング
近年、構造物における何らかの物理量を継続的に監視(モニタリング)することにより、その構造物の性能変化、損傷の発生・進行を早期から、定量的に把握するといったインテリジェント(スマート)ストラクチャーの概念が確立されつつあります。
私たちは構造物を監視し、異常が生じた場合に関係者にメールで状況を送信するモニタリングシステムを構築して危機管理に役立てています。
モニタリング計測は損傷の見られない構造物でも実施しており、その結果から構造物を維持管理していくために最適な方法を提案し、実現していくことも私たちの重要な使命となっています。
橋梁モニタリングシステムの実装により、健全性評価、変状監視、施工時安全性を確認


橋梁モニタリングシステムの構成

健全性評価モニタリング
各種センサから橋梁の動きをとらえることで、構造性能の変化を検知し、構造物の健全性を定量評価するためのデータ収集を行っています。
また、この結果に基づき適切な補修時期と優先度を決定するための情報を提供することで、維持管理の効率化の一端を担っています。
各種センサから橋梁の動きをとらえる

モニタリング計測器(TYPE R7)
データ収録・エッジ処理機能
- 各種センサの電圧出力を高サンプリング周波数で連続記録
- 計測器にWeb上から直接アクセス可能
- 各種ピーク分析、疲労評価の等価繰返し回数、BWIM分析機能、モニタリングの閾値評価・アラートメール送信機能などを実装
計測機器の仕様
電圧入力:32ch(センサ用DC5Vを電源供給)
温度入力:4ch(熱電対)
電源リレー:4ch(レーザー機器等の電源を制御)
使用環境:温度-5~50℃、湿度85%RH以下




たわみ、卓越振動数から剛性を評価。振動固有値の分布から異常を検知。



変状監視モニタリング
既に変状が発生している橋梁においては、発生した変状に対応した計測を実施することで変状や挙動の変化を監視し、監視措置の代替または補助を実現しています。さらに、変状発生の原因究明や維持管理の高度化・低コスト化に寄与しています。
監視実施例として、床版の抜落ち、鋼桁疲労き裂、PC 鋼材の破断、支承の圧壊、ひび割れの進展、異常な振動、異常な傾き、異常な変形等が存在します。

施工時安全性モニタリング
変状の進行に伴う取替工事による衝撃や活荷重の影響を漏れなく監視します。
死荷重や温度変化の影響を把握し、Web上でリアルタイムに情報を共有しています。
施工時の構造物の安全性を確認し、得られた知見を設計・施工計画にフィードバックするとともに、施工による構造物の性能向上を把握することが可能です。

橋梁挙動計測
橋梁耐荷力調査
既設橋梁の耐荷力調査は既知外力に対する応答値を計測することで、実際に橋梁が持っている耐荷力を評価します。これにより設計における仮定条件の妥当性検証や補強要否の判定などを行います。
昭和30年以降大量に建設された社会資本には、設計時には予想できなかった過酷な荷重、環境条件下での使用に伴い、様々な形の疲労損傷が表面化しています。また、近年のコスト縮減に伴い、新工法・新形式の構造物が建設されており、これらの静的・動的安定性に関する検討が重要となっています。
当社では、実構造物での各種載荷実験、非破壊調査、計測管理手法、数値解析手法などあらゆる技術を用いて、新設、既設構造物の耐荷性能、耐久性能、使用性能などについて検討し、構造物全体の健全性、安全性の評価・診断を行っています。 また、診断・評価とともに補修・補強工法の提案、補修補強効果の確認、さらにはモニタリング調査による工法の妥当性の検討まで、総合的にコンサルティングすることによって社会資本を守っています。

非合成桁橋における実耐荷力の評価
この例は、既設非合成桁の実耐荷力を評価するため、既知荷重に調整した車両(総重量700kNに調整したトレーラ4台)を直接橋梁に載荷し、応力・たわみを計測したものです。


波形鋼板ウエブ橋の載荷実験
波形鋼板ウエブを有するPC6径間連続ラーメン箱桁形式の橋梁の構造特性について不明な部分が多く残されています。このような新工法によって架設された橋梁の構造的特性、静的・動的挙動を明らかにし、設計上の仮定の妥当性を検証するとともに、今後の維持管理に有用な初期データを収集することを目的として載荷試験を実施しました。
載荷径間の最大たわみ量(13.5mm)に対し、隣接径間の跳ね上がり量は、解析値、実測値とも1mm以内と小さく、曲げモーメントが隣接径間にはほとんど伝達されていないことから、波型鋼板ウエブのアコーディオン効果により、曲げモーメントに抵抗しないという設計上の仮定は妥当であることが分かりました。



活荷重実態計測
活荷重実態計測:BWIM
BWIMは、本線の交通流を妨げることなく、橋梁上を通行する車両の軸重等を計測するために開発された計測システムです。BWIMでは、橋梁部材(支点部の垂直スティフナー、主桁下フランジ、床版など)にひずみゲージを設置して、車両通行時に発生するひずみ応答を解析することで荷重計測を行います。BWIMは、1970年代に米国で提唱され、同時期に我が国にも導入されています。
国土交通白書によると、今後、膨大な量の社会資本の老朽化が問題視され、道路橋も予防保全型の維持管理を行う必要があるとされています。BWIMによって、過積載車を含む通行車両の軸重等の活荷重実態を把握することで、対象橋梁の累積疲労損傷度や疲労寿命を評価し、橋梁別・路線別の疲労環境を基に、橋梁の補修検討や対策優先度の策定を行うことができます。これにより、道路橋の予防保全型維持管理の推進をサポートします。

BWIMの計測手法は多数ありますが、当社では主に“支点反力法”により計測を行っています。支点反力法は、山田健太郎 名古屋大学名誉教授や、小塩達也 名城大学准教授らによって開発されたもので、鋼鈑桁橋の支点部にひずみゲージを設置するものです。支点反力法では通常、特別な調査用足場を必要としません。活荷重データの分析では、車両進入側と退出側の支点ひずみピークの発生時刻差から車両走行速度を算出し、ひずみピークの大きさや発生パターンを解析することで、軸重の大きさや車種判定などを行います。

当社のBWIMシステムは、平成18年の実橋計測以来、支点反力法の開発者である山田健太郎 名古屋大学名誉教授からも高い評価を頂いています。近年の高速道路における活荷重実態調査でも採用されており、各道路管理会社様から高い評価を頂いています。
鋼材の腐食速度計測
マクロセル腐食
コンクリート中の鋼材腐食に対する対策としては、鋼材に防錆処理を行う方法、コンクリート表面に撥水処理などをする方法、コンクリートに亜硝酸リチウムなどを混入する方法、電気防食工法などが用いられています。特に、断面修復時におけるマクロセル腐食対策としては、打継ぎ面に撥水系の表面保護材を塗布する工法(遮蔽型マクロセル腐食対策工法:平成18年度 土木学会関西支部 技術賞)が行われており、長期的にマクロセル腐食を抑制する効果を確認しています。

実橋の補修工事で実施された遮蔽型マクロセル腐食対策工の長期的な効果を確認するため、当社では、コンクリート埋め込み型の小型センサを用いたモニタリング計測を実施しています。小型センサ設置箇所の分極抵抗、液抵抗、自然電位を計測し、これらの計測データから鋼材腐食速度を算出して、コンクリート構造物の健全性評価を行います。

環境計測
高速道路沿道の騒音や振動などの環境レベルの調査を行い、環境基準値などの法的基準に対する適合状況を評価します。
また、高速道路の建設工事や更新工事などを実施する箇所においては長期的にモニタリング計測し、沿道環境の保全を目的とした助言や指導を行っています。当社では正確な測定を行うために計量証明事業所として登録しています。
道路沿道の環境測定
環境調査
環境調査では道路沿道の騒音・振動・低周波音レベルを測定して、法的な基準値等に対する達成状況を評価します。
近年では国際化の流れを背景にISO基準による評価を行うことがあります。

橋梁振動調査
橋梁の振動を原因とする振動障害が生じて、何らかの対策が必要となる場合は、発生源である橋梁の振動挙動を調べることが重要となります。このため、橋梁上下部構造の振動や変位を環境測定と同時に行います。

路面平たん性調査
環境測定を行う際には路面凹凸の計測を行うことがあります。以前は、車線規制をして、人力で計測していましたが、近年ではレーザー変位計を用いた車載型の計測器、車線規制をすることなしに測定を行っています。

道路沿道の環境対策検討
道路橋の振動対策
道路橋の振動予測には幾つかの方法が提案されていますが、当社では詳細な検討が必要なケースにおいて、立体FEMモデルを用いた移動荷重列による動的応答解析を行います。これにより、橋梁の補強による振動低減効果をパラメトリックに検討することが可能となりました。

道路橋の騒音
騒音の予測は日本音響学会のASJ2020-RTNによる方法が一般的です。これにより遮音壁や裏面吸音板の影響が評価できます。下図は、高速道路を対象とした遮音壁設置による騒音低減効果の予測結果です。


衝撃弾性波計測:StructureTap
杭の健全性試験:SIT
衝撃弾性波計測器:StructureTapに搭載された基礎杭の長さ等を計測できるシステムです。
SITは、「均質な物質中を伝搬する波は、ある一定の法則に従って進行する」という「波動理論」の性質を利用し、主に基礎杭を測定対象として、長さや損傷確認を行うことを目的とした計測手法です。
測定は、杭頭やフーチング上面等のコンクリート表面に加速度センサを設置し、その近傍を小型ハンマーで衝撃波を入力して測定を行います。そして、杭の底面で跳ね返ってくる反射波を測定し、その所要時間と弾性波の伝わる速度(伝播速度)の関係から長さを求めるというものです。


コンクリート厚さ計測:CTM
衝撃弾性波計測器:StructureTapに搭載されたコンクリートの板厚等を計測できるシステムです。
コンクリート床版のような薄厚の場合、入力された衝撃波がコンクリート厚さ内において重複反射する特性を利用するCTMにより厚さの測定を行います。CTMは、重複反射波を計測し、その波形の卓越する周波数を求め、コンクリートの伝播速度を与えることでコンクリートの厚さを推定するものです。
コンクリート内部に面的な広がりを持った空隙が存在する場合、重複反射はその境界部で生じ、空隙部までの厚さ(深さ)が推定できます。

ケーブル張力計測
ケーブル張力計測:CTChecker
ケーブル構造の橋梁では、ケーブル張力が橋梁の健全性に大きく影響するため、ケーブル張力の確認が重要です。
ハンマーでケーブルを加振して得られた加速度の周波数分析結果からモード次数の同定を行い、ケーブル張力を算出できます。

