
各々の担当業務について
皆さん、それぞれの担当業務について少しお話頂けますでしょうか?

トンネル覆工点検車(以下、eQドクターT)※1や路面点検車(以下、Kei-Doc)※2のラインセンサーカメラを活用した点検車両の開発に携わっています。
仕事内容はハードウェアの設計開発でCADを使った設計やシミュレーションをしたり、計測車両全体の設計をしています。
※1 西日本高速道路エンジニアリング九州株式会社 所有
※2 西日本高速道路エンジニアリング関西株式会社 所有

eQドクターTのサポートから始まり、実際の撮影業務の随行も経験して、2021年からeQドクターTの改良等や設計製作に携わっています。
新幹線トンネル覆工表面影撮システム(以下、次世代SATUZO)※3は設計当初から携わっています。
これからドクターTの2号機の製作が始まります。
その時には電源・ネットワーク設計に関わる予定です。
※3 西日本旅客鉄道株式会社 所有


撮影した画像の後処理を担当しています。
Kei-Docの開発当初(2007年)から携わっており、その後のラインセンサーカメラを活用したシステムのeQドクターTやJR西日本の次世代SATUZOも担当しています。
この他にもAutoCIMA(デジタルカメラ構造物点検システム)や 赤外線カメラを利用した画像処理も担当しています。

次世代SATUZOやeQドクターTの撮影システムを担当しています。
仕事内容は撮影アプリの設計・製作をしていて、撮影装置の制御、連携、録画するためのソフトを製作しています。
この他にも撮影システムの性能向上に向けた開発を行っています。

主にトンネル案件の画像処理を担当しています。
仕事内容は撮影画像の管理や合成処理などのプログラム作成、システムメンテナンスなどです。
その他にも撮影サポートや運用の現場での作業などのフィールドワークにも行きます。
また、最近ではLiDARを使った形状計測システムの開発や、橋梁のモニタリングシステムの開発など仕事の幅も広がってきています。

ハードの設計・製作を担当しています。
主に構成部品や治具をCADで設計し、応力シミュレーションを行ったりしています。
ドクターTの2号機の設計が終わり、製作のフェーズに移るため、これから部品調達をして設計通りに組み立てて1つの形にしていく楽しみが待っています!
後輩が入ったので教えることもあります。
日々の仕事のこと
皆さん、普段は研究開発部とIT技術部はどのように関わりあってお仕事されておられるのか、教えて頂けますか?

1つのシステムを作る上でハードとソフトがうまく連携しなくてはいけないので、私たち研究開発部が担当しているハード側としては、ソフト側のことをできるだけ理解した上で、仕事を進めるように注意しています。

企画や設計の段階で「こんなことできる?」とか「あんなことできる?」などを事前にIT技術部の方と話し合いながら進めて行きます。

ハードとソフトが組み合わされる結合テストからは、研究開発部とIT技術部がより密に連携して開発、製作を進めていきますね。

車両に載せる前までは部署が違って、ハード側とソフト側に分かれて開発しているので、それらを合わせた時に課題が出ることもよくあります。
課題が出たらそれぞれで調整しますが、場合によってはソフト側の課題などをハードの設計上で対応してもらうこともありますし、その逆にハード側の課題等をソフト側で対応することもあります。

カメラの配置位置や、可動域の制限などハード側の課題があったときには、ソフト側で対応することもありましたね。

逆のパターンでは、カメラの制御がソフト側では対応できず、タイミング信号をハード側で用意して制御できるように対応したことがありましたね。

入社してすぐに車両開発業務に携わった方にお聞きします。入社当時はどんな感じでしたか?

点検対象は土木構造物なので、大学で勉強した土木の知識が活かせています。
ものづくりに関しては、この会社で先輩方よりたくさんの知識と技術を学びました。
分野違いですが、会社に入ってから電気関係の資格も取得したので、今後の業務に活かしていきたいと考えています。

僕はゲームのプログラミングを専攻していたので、プログラミング自体は苦戦しませんでしたが、道路構造物の知識はゼロでした。
入社してから周りの先輩方から教えていただき、ばっちり習得出来たのでこれから入社される方たちも安心して挑戦してもらえたら嬉しいです。

大学は土木出身ですが機械、電子、光学を扱うという点では異分野でした。
物理好きにはとても面白い内容ですし、土木構造物を効率的に点検していくためには、今後、必要な知識だと思っています。
基本的なことは学校で習うけれど、入社してからはもっと実務的な技術や知識が必要だと実感しました。
特にイノベーションズは物づくりの考え方を大事にしています。

僕も入社当初は、知識不足を痛感しました…。
今でも毎日勉強の日々です!(笑)

学校で習っていたことと違うからこそやっていて楽しいです!
入社してから楽しいこともたくさんありましたが、苦労もたくさんありますよね。

そうですね。特に僕は大学で2D CADしか触れる機会がなかったので、3D CADを扱うことになった時はかなり苦戦しました。
しかし、先輩上司のもと、数多くの設計業務をこなすことで徐々に習得することができました。

3D CADスゴイやん!
ドクターT2号機の設計とかもすごかった!
できあがりのイメージがしやすくて、とても助かったよ。ありがとう。
Kei-Doc2.0について
それでは、新しくなった路面性状点検車のKei-Doc2.0の特徴についてお話頂けますでしょうか?


Kei-Doc2.0の路面撮影画像にはラインカメラを使用しています。
自然光だけでは撮影画像が暗くなってしまうため、照明が必要になるのですが、可視光で照らしてしまうと視界の妨げになり、高速道路を利用しているお客様の迷惑となってしまいます。
そのためKei-Doc2.0では近赤外線を用いた照明を使用しています。
近赤外線は人の目には見えない光なので、一般車と一緒に走行していてもお客様の迷惑にならず、撮影画像も明るく撮影できるというわけです。
あと、太陽光など他の光の影響を受けにくいので、昼間に撮影しても毎回同じような画像を取得できます。

西日本の中では、関西は重交通地帯であり、点検や補修工事は夜間に行うことが多いので、昼間撮影できることはとてもメリットが大きいです。
しかし、近赤外線照明を使うと十分な明るさを得るのがとても難しいので、配光、光軸の調整は職人技かもしれません。

照明の配光調整は大変でした。
振動ですぐ照明が傾いてしまったり、照射範囲が足りなかったり、照明とカメラの軸がずれたり…、一生終わらないかと思ったくらいです。(笑)

今となっては解決していますが、その他にも実際に走行して撮影をしたら明るさのムラがあったり、振動のせいで明暗が繰り返すような画像になったりと苦労話は絶えませんね。
きっちり固定することで解決しましたね。

めちゃくちゃガチガチにしっかり固定するようにしましたよ!
撮影した画像を見るとカメラや照明の振動がよく分かるので、画像を確認しては振動の原因となる箇所を補強して…を繰り返してやっときれいな画像が取得できるようになりました。


ランプ(高速道路の出入り口)付近ってカーブ区間が多いので規制するのが難しく、点検しにくい場所なのですが、路面を点検しようとすると本線よりも広い範囲の画像を撮影しなくていけないので、従来車の光学設計で色々と試みたのですが使える撮影用レンズが暗くてどうしようもできないことがありました。
その時、MHさんに助けてもらいました。

狙った解像度にするにはどうしたらいいのかシミュレータを使って計算したり、カメラの位置、角度などを調整したりして、なんとか使用できるレンズで広い範囲を撮影できるようになりました。


パルス分配器は、変更が多く配線が複雑になってしまいました…。
色々なチェック機能も取り入れたので、不具合等のチェックも効率良くなりました。
Kei-Doc2.0は路面の画像とわだち掘れの形状や乗り心地に影響する平坦性の計測を行うのですが、これらのシステムのデータをすべて同期するにはデータの取得タイミングがとても重要になるので、様々な機器に合わせて、トリガーになる信号を分配する仕組みも内製しています。
さらに新しい技術を取り入れて製作工程などの改善をしていこうと思っています。
現在は、プログラムで電子回路を生成する技術を使おうと考えています。

僕は従来のやり方で今までやってきましたので、新技術に期待していますね!

ハードうらやましい!
ハードウェア側からソフトウェア側に侵食できるよね(笑)
ソフトウェアからハードウェアの領域に行くことは無理ですよね。

最近は、c♯やってます!

ほら!素晴らしい!
ハイブリッドな存在、両刀使い強い!

では、ここからはKei-Doc2.0での撮影についてお聞かせください。

Kei-Docの測定性能が基準以上の性能であることを確認するために公的機関の性能評価試験を毎年受けています。

性能評価試験では、分析を行う際に補正値を間違えていて時間がかかって大変でした。
間違いに気づくまでに時間がかかりましたね…。
何年か前に同じ場所を走ったデータと比較して、以前よりわだち量が小さくなっていたので「おかしいなあ」となりました。

結果的に試験に合格できたのでよかったですね!
試験待ちの車両がたくさん並んでいて計測車両フェスって感じで見ているだけで面白かったですね(笑)

昼と夜に測定して、終わったのが9時過ぎでしたね。

いつも、雨が降って延期になりますよね…。
2日間の予定が3日間になることもありましたね。
同じ場所で行った納品前の精度確認は極寒で地獄でした…。
すごく開けた場所なので冷たい風をもろに受けながら、冷たい地面に這いつくばってチョークで線を引いて…。凍えそうでしたよ。
その他に大変だったことはありますか?

なんぼでもありますよ!
Kei-Docの難しいところが1号機との互換性と2号機の新しい機能を両立させて作るところですね。

2号機を作製する時に1号機の開発メンバーが居なくて、分からないことが多く大変でしたね。

でも、苦労した分、Kei-Doc2.0を納品した際は非常に印象が良かったですね(笑)
とにかくパワーアップしていて感謝されました。

来年度の開発時には新しいメンバーがいるかもしれないですね!
楽しみですね!
eQドクターTについて
それでは、ここからはeQドクターTについてお話頂けますでしょうか?

拘束時間の長い随行業務が大変でした。
普段立ち入れないような場所に入ったり、西日本各地の景色が見られたりするのは面白いですね。
とは言え、作っている時の方が楽しいです!
意見を出し合い試行錯誤しながらの開発はやりがいも有ります。
そして、いざ運用となると緊張しますね!

共同開発の難しさを初めて知りました。
いざ運用開始した後もトラブルや不具合があり、ハードもソフトも含めて様々な改良を行いました。

僕は、入社してすぐ、eQドクターTの改良が始まった頃に携わりました。
最初は画像合成をひたすらやっていました。

今はもっと効率的に合成出来るようになりましたよね。
僕は、eQドクターTのソフト改良するタイミングで関わり始めて、半自動化やUIの改良をしました。

従来のアプリの操作手順が複雑だったので、この改良のタイミングでシンプルにしました。

eQドクターTの技術は鉄道にも
活用されていますね。

鉄道は撮影が深夜になるので、高速道路とは違う大変さがありますよね?

鉄道の保守って深夜でも運行ダイヤがかっちり決められていて、測定のやり直しが絶対に出来ないんですよ。
新幹線は厳格で超シビアなので…。
基本的に測定をスタートしたら走りっぱなしになるので、1本丸々撮り直しは無理なんですよね。

当時を振り返ると、コロナが流行っている時は特に大変でしたね。
新幹線の運用が終わった後の24時にスタートして、基地に着くのが明朝の3時か4時になります。
帰りは、スタートとは違うところから帰ります。
普通の人が入れないところに入ることが出来るので、鉄道が好きな人はめちゃくちゃ楽しいと思います。
線路上や、バラストのところまで行ったりもしました。
撮影中はトイレに行けないです…。
5時間くらい行けないので、考えを麻痺させないと無理ですね(笑)

なのにジュース5本くらい袋に入れてくれはるホテルのおっちゃんがいたんですよ。
夜勤に行く前に自動販売機で「好きなん押して!」って(笑)
そういう心温まるエピソードもあります。
違う会社の方と一緒にする仕事についてはどうですか?

エンドユーザーであるグループ会社の方や鉄道会社の方と一緒に計測テストに行きます。
そこで実際の使用感やデータの確認を行います。
鉄道の場合は、我々は運転ができないので、現場の運転士の方に協力してもらいます。

同じく現場の計測を担当されている方々と仕事をする機会は多いです。
そういう場で現場の意見、ユーザーの意見を取り込むようにしています。
トラブルがあったときの対応について教えてください。

鉄道の場合は、システムや機械にトラブルがあった場合はすぐに現地へかけつけても時間が足りない事が多いので、後日直すことになります。

高速道路だと現地にすぐかけつけることもあります。
測定作業にも工程があるので、迅速な対応が求められます。
トラブル対処には原因を探る力、判断力が求められます。
そして提案力も大事ですね。


